【植松さん】猿払に移住してきた現役ヘルパー
植松敏直
神奈川県の牧場従業員から転職、猿払村ヘルパー職員。妻と共に猿払村で就農を目指している。
猿払に移住して1年目の植松さん。元牧場従業員から酪農ヘルパーに転職し、現在は新規就農を目指しています。
現役の酪農ヘルパーである植松さんに、ヘルパーとしての仕事に思うことや、猿払移住に対してどんな心境だったのかをお聞きしました。
01ヘルパーの仕事
牧場従業員としては長年勤めてきましたが、酪農ヘルパーとして働くのは初めてです。
猿払では研修プログラムが整っていて、牛の接し方、搾乳、機械の乗り方などを農家さんやヘルパー職員に教わりました。勉強会等もあるので酪農のことを全く知らない未経験でも、ヘルパーとしてやっていける体制が整っています。
普段の仕事は、だいたい朝晩で実働4時間ずつといったイメージ。搾乳、育成や哺育などの世話、給餌、清掃などが主な業務です。機械操作をすることもあります。
業務内容としては想定していた酪農ヘルパーの仕事そのものでしたが、やはりいくつもの農家さんの牧場を回るため、引継ぎや各牧場ごとの牛や設備の違いに戸惑いました。
02なぜヘルパーに?
前職は内地で牧場従業員を7年勤めていました。そこで今の妻に出会ったのがきっかけです。
それまではずっと従業員を続けていくと思っていました。しかし、その職場は世間一般から見ればブラックなところで。そんなところで妻とずっと働き続けていられないと思いましたし、妻は一回り以上若いので将来のことも考えて次のステップを決断しました。
最初は不安
ヘルパーは各現場ごとに牛も餌も設備も違うのに、それぞれに合わせて仕事をするなんて無理だと思っていました。従業員として働いていた期間が長かったからですかね。
これも結局は慣れというしかありません、今でも初めての現場は常に不安です。農家さん不在で牧場を完全に任せられてしまうと責任も重く感じます。
だから主任やほかの職員とも情報共有をして、しっかり引継ぎをできるようにしていました。先輩ヘルパー、農家さんもみんな丁寧に仕事を教えてくれるので、素直に取り組む姿勢があれば周りも応えてくれるなと感じています。
ヘルパーのやりがい
私たちは新規就農を目標に出発してるので、ヘルパーになったのはとても良い選択でした。
これまで牧場従業員としては経験を積んできましたが、ヘルパーは1つの牧場では見られない事例を多く吸収できます。ロボット搾乳なんて初めて見ましたし、機械操作などもヘルパーになってから初めてでした。
休みもしっかり決まっているので、心身ともに健康的に働けるようになっています。
なにより農家さんから感謝されるとヘルパーをやって良かったと実感します。
03猿払移住について
妻が帯広畜産大学の別科出身なんですが、猿払の酪農関係者が帯広畜産大学に講演などで来ていたのですでにコネクションがありました。妻の知り合いが多く、若い人が多いというのも猿払を選んだポイントです。
苦労したこと
まず北海道ということで寒さが不安でしたが、これは大した問題じゃありません。牛舎の中も温かいですし。雪道運転や吹雪は怖いですね。鹿にぶつかったこともあります。
他には案外苦労や心配もなく、生活に関してはとくに不便も感じていません。
元来私は出不精なので家にいることが多いですが、飲み会などもたくさん誘ってくださったり企画をしてくださるかたがいます。
毎日街で買い物やイベントを楽しみたいという人には向いてないかもしれませんが、猿払村には猿払村なりの楽しみがたくさんあると感じています。
猿払生活
定期的に勉強会もしており、就農目標がある自分にとってありがたいですし、ヘルパーとしても仕事のレベルを上げる為に必ず役立ちます。餌や繁殖のことなど毎回テーマがありますが、とくに草のことについては北海道でないと知る機会もなかったと思います。
私はアクティブな趣味などは持ちませんが、妻と休みが合えば稚内に行って買い物や外食を楽しむこともあります。
ヘルパー職員だけでなく他の大きな牧場の若い従業員の人や、関係者と交流して情報交換などできるのも猿払ならではかもしれません。私が牧場従業員だったころは、そういったことがありませんでした。
今となっては猿払に移住したことで多くの人と繋がり、酪農のことをより深く学び、新規就農の兆しまで見えてきました。
牧場従業員としてのキャリアがあっても、ヘルパーはまた違う仕事だと割り切ってフラットな姿勢で臨んだ植松さん。その謙虚な性格が、真面目で誠実な仕事ぶりに裏付けされているように思われます。
最後に「酪農ヘルパーは農家さんあっての仕事なので、何をしたら喜んでもらえるか考えて作業することが大切」と締めくくりました。